東日本大震災における真空式下水道システムの信頼性

摘要

2011（平成23）年3月11日、宮城県牡鹿半島沖を震源として発生した東日本大震災（M9.0）は、震源域は南北約500km、東西約200kmの広範囲に及んだ。未曽有の津波被害をもたらした他、液状化現象、地盤沈下等の被害が発生し、各種ライフラインも寸断された。東北地方3県（岩手県、宮城県、福島県）では下水道の被災も大きく、マンホールの浮上（写真1参照）、管路の蛇行や破損による分断が発生し、家庭からの排水が不能となる被害が見られた。真空式下水道システム（以下、真空式）が国内に導入されて20年、今回の被災地、宮城県では農業集落排水事業を中心に15地区（対象人口26,000人管路延長150km）と非常に多く採用されている。本稿では宮城県内の真空式採用地区の被災状況を報告する。