そもそも設計者にとってCAEとはどんな意味を持つのか－設計者はCAEを使うために何をすべきか

摘要

今後，先に述べたような形で非線形の動的解析を設計者が実施する場合の注意点を，ある企業で実際に起こった例で説明したい。その企業では，従来設計者は基本的に線形静解析のみ行ってきた。あるとき板ばね機構のあるスイッチの解析で非線形も必要となり，非線形の動的解析を実施した際に，線形のイメージで（動的な力を考慮しない）計算時間の設定を適当に設定して解析したところ，試験結果とまったく一致しないという結果を示した。原因がわからなかったので，設計者が実際の試験を確認したところ，試験機ではそのスイッチがかなり高速で押されていたということがわかり，そのスピードになるように時間設定したところ，実際の試験値にあったということであった。いつも線形静解析ばかりを行っているとどうしても時間の概念，動的な力の考慮を忘れがちになるので今後非線形解析を始めようと思っている設計者の方は参考にしていただきたい。設計者がCAEを使用する際には，このように言われれば当たり前のことであるが，最初はなかなか気づかないことも多い。初期教育などで一度聞いておけば解析結果と試験結果が異なる理由を調査する無駄な時間も省けるので，ぜひCAEを始める前の基本的な教育を受けることをおすすめしたい。