ころがり接触における弾性流体潤滑油膜の基本問題－純粋なころがりの場合（下）

摘要

潤滑剤の挙動に対して集中的な実験を行うことによって，弾性流体潤滑(EHD)すきまに関する研究が長年に渡って続けられてきた。 この場合においては，すきま壁面に関してゆるやかに流れる層流が前提とされている。この層流は非常に迅速に変化する静水圧を受ける。 時間に左右されないでほぼ定常的に，転動体が平たくされた場合に限って固体材料の影響を観察することができる。 それに対して，上述の仮説においては，純粋なころがりの場合，すきまの入口前方には乱流が，入口と圧力スパイクの間には層流が，その後方にはふたたび乱流が存在することが前提とされている。この場合，すきまの一部の領域においても，潤滑剤が相対的に逆方向に運動することが仮定されている。圧力が突然低下した後，圧力スパイクが出現する。 潤滑剤と固体材料の挙動が，どの程度までこの仮説に一致するのかということが問題になる。