軸受編：対アルミ合金用特殊グレード摺動材（軸受）の開発動向

摘要

近年，自動車を代表とする輸送分野，複写機，デジタル複合機をはじめとしたOA機器，パソコン，ビデオカメラに代表される家電製品の発展に伴い，機械装置，機器類の省電力化に伴う軽量化が時代のニーズとなっている。 摺動部材の軸受としては経済性，設計自由度，軽量化，省スペース化の利点から転がり軸受の代替として，樹脂系滑り軸受が使用されることが非常に多くなっている。 同時に相手材には軽量化による消費エネルギー削減，装置の小型化を目的とし，鉄系材質からアルミニウム合金を検討したいという要求が非常に増えている。 一般に相手材にアルミニウム合金を適用した場合，従来型自己潤滑軸受の多くは，摩擦係数が高く，相手材を著しく損傷させ，その結果，軸受自体も激しく損耗し，機械装置の耐久性低下につながることが多く，軸受材としての適用が困難であった。 本稿では，アルミニウム合金をはじめとした軟質金属を相手軸とした場合においても，非常に優れた摺動性能を有する軸受材オイレス#88-03の開発に成功したので，その性能について一部紹介する。