理念から実践へ 重みを増す設計者の責任：新しい機械安全の原則に沿った設計実務のポイント－安全の保証：機械の安全を保証する技術者倫理

摘要

機械を安全に設計し，製造し，そして使用するには技術者が誤りなく技術を応用し，十分にリスクを低減することが重要である。 さまざまな局面の中で，実際にこの仕事を担う技術者が適切な業務を行うには，自らの仕事において適切に判断，行動をしなければならない。なぜならば，機械の設計から使用までの工程において，それぞれの段階での基準·規範·実績例に従っていれば機械の安全が維持できるとは限らないからである。 機械が従来と同じでも用途·目的が異なれば，従来の基準·規範を満たしていても，安全に対する具体的な配慮を従来の範囲内のみで満足してしまうと，安全が保証されないことがある。 少なくとも基準·規範の見直しが行われるまでの期間は，以前には存在しなかった技術や検討されていない用途と，現在決められている具体的な方法との間に間隙があるからである。 これを何かで埋めなければならない。 この機械安全を実現させるのは技術の専門家に課された常識ともいうべき，技術者倫理の認識と遵守である。 技術の専門家の分野においては技術者特有の倫理が問題となる。