破損事故から学ぶ強度設計法：疲労破損の事例とその防止技術

摘要

近年，わが国でも製品の破損事故が社会問題として注目されるようになって来た。 欧米では産業革命期から多数の野心的な開発がなされ，「文明の恩恵は危険と隣り合せ」の時代を経験している。 そのため，破損事故を防止する方法や，事故が発生した場合の被害を最小化するための方法について，社会的な取組みが継続して行われた。 一方，わが国は導入技術を信じて効率よく発展してきたため，これらの発達が遅れている。 しかし，安定成長期に入って老朽設備もうまく使いこなさねばならなくなったことから，破損制御が国民的関心事となって来ている。 このことは，機械技術者にとって活躍の場が新しく提供されたものと受け止めるべきである。形あるものはいずれ壊れる運命にあることからも連想されるように，ほとんどの種類の破損事故はどこかですでに経験済みである。 そのため，製造業やサービス業にたずさわるすべての技術者は，先例をよく調査して，類似の事故を発生させないよう心がけなければならない。 「自分がやらねば誰がやる」と，「自分がやらねば誰かやる」の差は決定的である。