設計工学と創成教育：画用紙製衝撃吸収装置の設計プロジェクトの実践

摘要

いわゆる創成教育が様々な形で脚光を浴びているが，それに至るには先行する欧米での状況が作用しているはずである．1990年代は，設計工学に関する欧州系の国際会議であるInternational Conference on Engineering Design （ICED）や米国機械学会（ASME）のDesign Engineering Technical Conferencesがその規模を拡大した時代である．その過程においては，設計教育の中でもプロジェクト型学習（Project-Based Learning）についてのトピックも一つの分野となり，現在に至っている．この1990年前後からの設計工学の拡大に関して，1980年代におけるわが国の産業的優位が一つの契機になっていたことはMITによる産業競争力に関する調査報告なとにも垣間見ることができる．混迷するわが国の状況と照し合せると，いささか皮肉ではある．とはいえ，創成教育を考えるに当たって，これらの流れの背後に潜む意味を踏まえることも必要であろう．