加工現場から生産設計へのメッセージ 第40回 超硬ロングネックラジアスエンドミルによる焼入れステンレス鋼（HRC 52）の切削

摘要

硬さHRC 52（HV 545）の焼入れステンレス鋼を切削する場合、切削工具材には2200HV程度の硬さが必要となる。硬さだけに着目した場合、超硬合金工具の母材の硬さの上限は約1800HV なのでHRC 52の焼入れステンレス鋼の切削には、さらに硬い工具材が必要となる。狩野は被削材硬さがHRC 45～50に達すると、サーメットやコーテッド超硬合金による切削は困難であり、この領域の硬さの被削材には超硬合金K 01～K 10 が推奨され、さらに硬さが増してHRC 50を超えると通常の工具材料では経済的に切削加工を行なうことは不可能で、工具材料としてはセラミックスやCBN焼結体などが適用されるとしている。マルテンサイト系高硬度ステンレス鋼の切削にはCBN焼結体が推奨されている。