現場で活かす型材·熱処理－プラスチック成形用工具鋼の諸特性

摘要

表1に、各ステンレス鋼種の焼戻し温度（低温·高温）の違いに及ぼす耐食性の影響を示す。マルテンサイト系ステンレス鋼の耐食性は、低温焼戻し材が高温焼戻し材よりも耐食性が向上している。高温焼戻し処理では、CrとCが結合した2次炭化物（CrC）の形成が促進されるために、粒界近傍ではCrの欠乏した領域が生地に形成され耐食性が低下する。また、低温焼戻しでは残留オーステサイトの分解が不十分となり、経年変化が発生する可能性が高い。そのような場合には、焼入れ後にサブゼロ処理を実施すると改善できる。