実務者のためのプラスチック精密成形用金型の展望（第39回）

摘要

現今の状勢では，精密成形金型の製作には，高精度化とともに，低原価化と短納期化の技術の獲得が必要不可欠である．金型製造の企業，担当部門はそのための苦闘を続けている．前節で述べたように，金型の自由曲面の加工時間短縮と高精度高精細化のためにミーリング加工技術の開発は重要である．この節以降，ミーリング加工に話題を呼んだいくつかの技術について記しておこう．1992年の第16回日本国際工作機械見本市(JIMTOF)に（株）牧野フライス製作所と三井精機工業（株）が高硬度金型材料を高速切削する展示をした．1992年11月号の「型技術」誌にこの展示を裏づけるような解説記事が牧野フライス製作所の中村によって発表された．「F·F加工」が打出されたのはこの時がはじめてだとされている．以降FF加工技術の深化とともに，FF加工とその関連技術を述べた文献は少なくとも14件発表されている．