鋼および銅合金に対する冷間圧延油添加剤の効果

摘要

前報では銅および銅合金の板表面に及ぼす潤滑油の影響について、実験圧延機を用いた庄下率段階圧延により、圧延荷重、摩擦係数、発生摩耗粉量、ロール表面観察、板表面観察を行なって基礎的な検討を行なった．この実験での板表面観察から、黄銅材は圧下率が低い段階から凝着を生じ、従来の潤滑油組成では純銅材やリン青銅材とは異なる潤滑挙動を示したため、黄銅材に適した圧延油油性剤の検討が必要であると思われた．この油性剤の検討にあたり、柴田らがアルミニウムで行なった油性剤の金属新生面に対する吸着括性を、純銅や銅合金及び亜鉛について基礎的に調べ、圧延試験結果との関係を検討するため、モデル油剤で吸着活性の高い化合物と同様な極性基を持つ油性剤を選択して圧延実験を行なった．圧延実験条件は前報と同様、一定圧延速度で圧下率段階圧延とし、純鋼と黄銅について前回と同様の項目について調査した．この結果、従来の油性剤に微量の追添加で圧延潤滑性に効果のある油性剤を見出すことができたので以下に報告する．