銅および銅合金に対する冷間圧延油添加剤の効果

摘要

今回は、圧下率を大きくとると凝着潤滑となり荷重が高くなる傾向にある黄銅材に適した潤滑剤を検討するため、金属新生面への吸着活性を測定し、この結果から吸着活性が高いと思われる添加剤を選択して圧延実験を行なった。 この結果以下のことが言える。 （1）黄銅材への吸着活性が高いと思われる油性剤である脂肪酸やエーテル化合物は、黄銅材の圧延潤滑性向上に有効である。（2）黄銅材で潤滑効果の見られた脂肪酸やエーテル化合物は、純銅材でも効果があり、圧延荷重を低減できることがわかった。 但し、脂肪酸については金属石鹸の生成と圧延材の変色の問題が懸念される。（3）黄銅材の圧延では圧延荷重が下がると同時に、板表面の凝着模様は減少し、ロールコーティングも薄くなる傾向が見られた。 （4）吸着活性測定による銅圧延油の油性割検討は有効な手段と考える。