遭遇端末の位置情報と地理情報を併用した高精度な位置推定手法の提案と評価

摘要

ユビキタス社会におけるあらゆるサービスにおいて，位置情報は極めて重要であるが，都市環境では，ビル陰や地下街などGPS精度が十分でないか利用できない状況も多い．一方で，主にセンサーネットワークの分野において，位置発信器（シード）を用いて位置推定を行う技術も多く提案されているが，多数のシードを設置することは容易ではない．本稿では，都市環境を対象とした端末の存在領域の予測手法を提案する．提案手法では，短距離無線デバイスによる端末間直接通信が可能であるとする．このもとで，各端末は他端末との遭遇時に相互の予想存在領域を交換し，かつビルなどの周辺障害物情報を併用することで常に自身の予想存在領域を狭小化する．JR大阪駅付近のビル群を想定し，シミュレーション実験による提案手法の性能評価を行った結果，電波範囲50m，端末密度16（ノード/ホップ）において，代表的な既存手法と比較し，存在領域の狭小化60％を達成できた．