かわいい色と生体信号の関係

摘要

これまでに，文化論的な先行研究を調査し，さらに簡単な予備実験の結果，「かわいい」という評価が年齢や性別によって異なることがわかった．これを踏まえた上で，かわいい色や形について2次元図形やバーチャル空間の3次元オブジェクトを対象として実験を行ない，形については，直線系（正方形，ひし形，立方体など）よりも曲線系（雲形，円，円環体など）がかわいいと評価されるという知見を得た．さらに色については，色の色相，明度，彩度の3要素からかわいい色を検討する実験を行った．ここで，色相として，マンセルの色体系の基本の5色（R：赤，Y：黄，G：緑，B：青，P：紫）を選定し，次に，各色相に対して，3種類の明度と3種類の彩度の組合せで9種類の色を選定し，合計45種類の色を対象とした．対象オブジェクトの形には円環体を用いて実験を実施した結果，色相ごとでは明度や彩度が高いほどかわいいと選択する人数が多く，色相ではいずれも選択されたが，紫の選択数が最も多かった．さらにこの実験で最もかわいい色として選択された色と各色相の純色との比較では，色相によって，結果が異なった．これまでの実験では，アンケートを用いてかわいい色の評価を行ってきた．しかし本報告では，かわいい色を見たときに生じる快適感やわくわく感などの心理状態を，生体信号の変化としてとらえることができないかと考え，かわいい色と生体信号との関係を調べてみたので，その結果を報告する．