ノード間距離を考慮に入れた離脱耐性を有する重畳クラスタツリー型経路構成法

摘要

近年，オーバレイネットワーク上でのコンテンツ配信が盛んに行われている．特にリアルタイム性を重視するストリーミング配信の場合には，遅延やジッタが低く抑えられやすい複数配信木方式が有用である．複数配信木構築の際には，ノードの性能や接続次数によって接続相手を決定する．しかしながら，IPネットワーク上でのノード間距離は考慮されておらず，ネットワーク全体の中で同じデータが行き来するため，IPネットワーク上でのノード間の距離による遅延の増大やネットワーク資源の浪費が問題となる．本稿では，複数配信木を基に，ネットワーク内でのトラヒック量の削減と遅延の低減を目的として，IPネットワーク上でノード間の距離が近いもの同士をクラスタ化し，必要に応じてクラスタの分割や統合を行う重畳クラスタツリー型経路構成法を提案する．クラスタ内で代替経路を明示的に確保することで，離脱耐性を有するアプリケーションレベルマルチキャストを実現する．提案方式の性能をシミュレーションによって評価する．