中山間地域の直売所の役割と課題

摘要

中山間地域の特徴として、ロードサイドに点在する農産物直売所の存在がある。これらは地産地消の拠点として、また地域農業の推進役として期待されている。 今回は設楽町の事例から、直売所の役割と課超を考える。 道の駅「アグリステーションなぐら」（平成十一年九月十五日オープン）の農産物直売所（以下「アグリステーションなぐら」と称する）は、平成十五年度の売り上げが一億三千万円を超え、今年度中に延べ来場者数五十万人を達成する見込みである。 第一表に開設以降の売上高と来場者数の推移を示した。この直売所は名倉高原生産組合（組合員数七十九名）が運営している。組合員は専業農家が十四戸、兼業農家五十八戸、法人が七法人で、六十歳以上の高齢者が約七割を占める。 またこの直売所の特徴として、地域の専業農家や高齢者、兼業農家など、農業の担い手すべてに対して門戸を開いていること、出荷規格の取り決めはあるが、生産物の出来具合、量目により出荷者個人の判断で値段が設定できることが挙げられる。これら自由度の高い運営から、組合員以外の出荷者が毎年増加しており、「アグリステーションなぐら」は地域生産者のコミュニティー的な機能を果たしていると思われる。