防錆溶射技術の最近の動向と適用例（その1）

摘要

我が国のメンテナンス費も含め積算対象とした腐食損失額（Uhlig 方式：生産·製造面からの直接腐食対策費）は，3兆9千億円（1997年）であるが，その約半分は塗装費用と報告され，メンテナンス費用の比重の重さと共に塗装費用の低減化が要求されている。 これを機に腐食対策費は，Life Cycle Cost低減化に着意した種々の技術が設計段階から検討されている。 防錆技術で最も重要なことは，部材構造の単純化および基材の部材端部形状のR面化と言える。 橋梁（きょうりょう）構造の一例では，コスト縮減と景観に着意した上部桁（けた）に開断面箱桁構造が多く採用されているようである。また，橋梁の防錆技術は，無塗装で海岸地帯でも使用可能なニッケルを含む耐候性鋼材をはじめ，塗料の改質，塗装と溶融メッキを組み合わせた新しい複合技術の開発など，最近では金属溶射法が再検討されている。 本稿では，防錆溶射の基本を含め最近の動向と適用事例について概説する。