廃棄物溶融炉用耐火物総論General Remarks on the Waste Melting Furnace Refractories

摘要

廃棄物溶融炉用耐火物として，タロミア含有耐火物からクロムフリー耐火物まで述べた。実機においては，部位ごとの運転条件の厳しさに応じてクロミア含有量の異なる材料を適用することによって耐用とコストのバランスが取られている。最近，クロミア含有量が約80％の高クロム質キャスタブル耐火物が実用化され，ガス化溶融炉において好成績を収めている。しかし運転条件によっては，アルミナ·クロミア系キャスタブルは構造的スポーリングを起こし易いことがある。これらの欠点は，シリカ系成分を添加することによって，スラグの浸透が抑制し，耐構造的スポーリング性が改善された例がある。また，アルミナ·クロミア系キャスタブル耐火物のアルミナ質骨材の一部をスピネルに置換することにより，耐食性と耐熱スポーリング性が改善され，耐用が向上した例がある。その材料は飛灰を溶融する炉において良好な結果を示した。このように現在では，クロミア含有耐火物の欠点を補う手法は研究開発されており，実炉でも良好な耐用を示している。しかし，高クロミア材質に変わるようなクロムフリー耐火物の報告および実績は無いのが現状である。炉の構造，運転条件，耐火物の特性の相互関係を明らかにすることで，クロムフリー耐火物の適用の可能性を探っていきたい。