溶融炉用MgO－Ti0_－Al_20_3系クロムフリー耐火物の侵食挙動

摘要

近年，環境問題が大きくクローズアップされる時代となり，それに伴って廃棄物の処理方法も従来の焼却処分や埋め立てから，無害化，減容化を目的とした溶融処理が求められるようになった。 廃棄物の溶融処捜炉は2通りに大別できる。 一つは焼却施設で発生する廃棄物の焼却灰や飛灰を溶融してスラグ化させる灰溶融炉で，二つ目は廃棄物を直接溶融してスラグ化させるガス化溶融炉である。 両方共に高温のスラグを発生させ，しかもそのスラグ成分は低塩基底（C／S＝0．5～1．2）かつアルカリ成分（Na20，K20）及び酸性成分（Cl－SO3）を多く含む為に，溶融炉の内張り耐火物にとっては非常に厳しいスラグ侵食条件である。 したがって溶融炉の炉内雰囲気に応じて，選元雰囲気では非酸化物系耐火物，酸化雰閣気ではCr203を含む酸化物系耐火物が使用されている1）。 Cr203は中性酸化物であるが，塩剛性酸化物のMgOや中性酸化物のA1203と併用され，高塩基から低塩基度まで幅広い組成範囲のスラグに対して高耐食性を示す。 但し，Cr203はアルカリ共存下あるいは酸素分庄が商い雰囲気下ではCrO3すなわち六仰クロムを生成する2）。 六価クロムは環境基準の節二秤特定有寮物質（重金属等）に指定されていることから，Cr203を佗用しない耐火物，すなわちクロムフリー耐火物の出現が望まれている。 溶融炉用クロムフリー耐火物としてこれまでにキャスタブルの報告が多く見られる。