窯の発達

摘要

焼き物は有史以来今日まで連綿と造られている。 そこには造る人の個性だけではなく，往時の風俗習慣·国民性などの文化的側面が凝縮されている。 焼き物は，また，身近な什器として普遍性があり文明的である。 正しく焼き物は最も身近な文化的文明的産物である。 焼き物の発達は窯の性能に負うところがすこぶる大きい。 ここでは，中国の焼き物を葉の発達の観点から取り上げ極簡単に触れてみたい。 今から約2万年前，人の生活が狩猟採取から農耕主体になり，やがて人が土地に定住するようになる。 この頃から中国では焼き物が造られるようになった。 最初の焼き物は焚き火の中で素地を焼く土器であった。 土器のあるものには砂·動物の毛·藁などが混ぜられている。これらの混ぜ物は，丁度，セメントの中の砂利や鉄筋のように，熱ひずみによる素地の割れを防ぐために用いられた。古代の人達の創意工夫が伺える。 しかしながら，このような簡単な方法では，空気の流入や不完全な保温のために，焼成温度はせいぜい700℃余りであり，酸化焼成のみで還元焼成はできない。