地質情報展2006こうち3D地震探査アニメーシヨンに見る南海付加体の地質構造

摘要

2006年の地質情報展は高知市で開催され，室戸半島沖南海付加体の様子を三次元地震探査データのアニメーションで紹介した．高知の来場者の方々には，深海底下の地質構造とそれを可視化する技術を大いに楽しんでいただいた．付加体の展示を高知で行うには特別な意味がある．高知県は日本の付加体地質の原点であり，陸上には四万十帯 Ｑ螭摔犀F在形成過程にある南海付加体が存在する．多くの巨大断層が存在し，整然相と異地性岩塊を含んだメランジェ相が混在するなど，地質年代の交錯によって通常の層序学的区分が不可能だった地質を，プレート沈み込み帯で形成される「付加体」という概念で最も体系的に逸早く整理されたのが高知県の四万十帯であり（平，1981），以後日本列島の大部分が付加体で構成されていることを導いた．その陸上で見られる付加体の形成場を，現在進行しつつある深海底で実証したのが高知県沖の南海付加体である（Taira, Hill, Firth，etal., 1991；Moore, Taira, Klaus, et al., 2001など）．四万十帯や南海付加体では現在も継続して精力的に研究が進められており，付加体形成過程における諸現象の解明のみならず，近年は海溝型巨大地震発生帯の研究の上でも重要視されるようになってきた．