ハットンシンポジウムについて

摘要

ハットンシンポジウムは国際地質科学連合（IUGS）内に組織される国際火山学·地球内部化学協会（IAVCEりと関係を保ちつつ実施されている花崗岩研究に関連した国際会議である。 1987年にイギリス，1991年にオーストラリア，1995年にアメリカ，1999年にフランスと舞台を移して4年ごとに開かれ，そして2003年9月アジアで最初のシンポジウムが日本で開催された。 21世紀のハットンシンポジウムは日本で幕をあけたことになる。 ここでシンポジウムの名称にもなっているハットンについて簡単に紹介しておきたい。 1726年にイギリスのエディンバラに生まれたジェームズ·ハットン（第1図）はエディンバラ大学やオランダのライデン大学で医学を修めるが，結局実家の農業経営の道に進む。 しかし，農業を学ぶうちに地質学に興味を持ち，スコットランドで見た花崗岩の熱変成の様子から火成論を支持するようになる。 そして，1785年彼の研究の集大成である「地球の理論」の出版に至る。 よく知られるように当時の地質学界では火成論と水成論が論議されており，その論争に一石を投じ，近代岩石学の基礎を作った彼の功績は計り知れない。 そして彼の没後190年目に，その偉業を称えて彼の名を冠するシンポジウムが開催されたのである。