住宅部材用易解体性接着剤

摘要

リサイクル対応型接着剤に関する研究·開発はスタートしたばかりで，既に実用化されている技術は数少ないが，特許検索を行うと確実に接着に関わるリサイクル技術の公開件数は増加しており，この傾向は続くものと思われる。 しかし，住宅部材関連への再剥離型接着剤の実用化においては運用面での課題も多く，具体例を挙げると，①再剥離型接着剤の付加価値を発揮するのは建物が解体される30～40年先であり，現時点での成果が現れにくい。 このため，機能性付与に伴う接着剤のコストアップに対しての理解が得られ難く，また，購入時や廃棄時など，どの段階で消費者に負担をお願いするかの問題が大きな課題となる。 ②住宅は内装部材だけを見ても天井·壁·床·キッチン·浴室·クローゼットなど多くのユニットから成り立っており，使用素材やその構成は千差万別である。 このため，住宅解体時に再剥離可能な部材か否かを解体業者の方が簡単に判別できるような識別システムの導入を業界全体で取り組む必要がある。 ③ここでは加熱による住宅部材の再剥離技術を紹介したが，実用化に当たり再剥離方法の統一が確保できるかどうか。 ④住宅部材をリサイクルしていくためのシステムづくりをどのように構築するかなど実用化に向けて解決すべき内容は山積みである。 循環型社会の実現のためにも，再剥離型接着剤が技術的に発展することを期待する。