超音波イメージングにおける生体組織の周波数依存減衰の影響について－映像化距離に対する送信波形の検討

摘要

臨床診断で用いられている超音波イメージングは、パルスエコー法とアレイ振動子によるビームフォーミングが用いられている。この方式による画像の分解能は、超音波の伝搬方向（レンジ方向）については、パルス幅、アレイ方向についてはビーム幅で決まる．広帯域な超音波パルスが軟部組織中を伝搬する場合，高い周波数成分は低い周波数成分に比べて大きく減衰するため，伝搬とともに帯域は狭くなり，かつ中心周波数は低周波側へシフトすることとなる．このような狭帯域化と低周波シフトのため，広帯域パルスによる生体深部の映像化は分解能低下だけでなく，SNRの低下を招き，実用化の大きな妨げとなっている．本稿では，広帯域超音波パルスを用いたイメージングにおける，生体組織の周波数依存減衰の影響を検討して，その補正法について報告する．