超臨界二酸化炭素抽出法による金属分離--原子力への応用

摘要

本稿では，原子力分野における最も重要な分離対象であるウランの分離を中心に超臨界二酸化炭素による金属分離について解説した。 現在日本において，次世代の使用済み燃料再処理及びウラン廃棄物の除染における金属分離工程に超臨界二酸化炭素分離法を適用するための開発研究が始まっており,超臨界二酸化炭素を用いる金属分離法の実用化が期待できる。 超臨界二酸化炭素金属分離法は原子力分野にとどまらず,資源リサイクルや環境修復などの様々な分野における金属分離法としても発展していくと考えられる。 超臨界二酸化炭素は金属分離法としてのみならず，材料の分野における利用にも注目が集まっている。 例えば金属ナノパーティクルの合成などの研究がある。 今後益々超臨界二酸化炭素技術が金属に関連する様々な分野で発展することが期待できる。