金属性と半導体性単層カーボンナノチューブの大量分離法

摘要

単層カーボンナノチューブ（SWNT）には半導体性（sem-）と金属性（met-）の二種類があるが、材料として利用する観点から両者を大量に分離する技術が望まれている。 本報ではオクタデシルアミン（ODA）のSWNTに物理吸着する際の吸着能の違いから、これら分離できることを報告している。すでに、SWNTとODAが非共有結合的に会合することは知られていたが、その様式はSWNTの末端にあるカルポン酸基との両性イオン形成（図A）によるものであり、壁にはほとんどのFDAは吸着されないと示唆されていた。 しかし、理論的にはアミンがsem-SWNTの壁面に物理吸着しやすいことは予測されており、図BのようなODAが壁面に吸着するような様式であれば、－NH_2基の電子供与性を受けてsem-SWNTは電気的性質を大きく変え、自己組織化したドメインが溶液中で安定化されるのに対し、met-SWNTは安定化を受けないため速く沈殿すると考えられた。