FRP製化学装置の老朽化と検査技術

摘要

化学プラントでは，酸ヤアルカリなどの腐食性の薬液を 扱うこ阜が必要不可欠であり，特にこれら薬液を長期間貯 蔵する目的のタンクには繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics，FRP）製のものが各所で用いられている。有機材料は耐食性が高く，高温·高圧でなければ長期使用に 向いており，経済性および環境の観点からも，十分な耐久 性を有する材料を最大限用いることが望まれる。しかし耐 腐食性に優れているといえども，薬液は徐々に材料内部へ と拡散浸入し，樹脂，強化材あるいはその界面を劣化させ るため，数十年といった長期の使用で劣化問題が顕在化し てきている。実際に，高濃度塩酸の貯槽に使われている FRP製タンクでは薬液漏洩や天板崩落といった重大な事故が報告されている。