廃水処理における膜分離技術

摘要

従来，廃水処理は生産プロセスに比して下流のプロセスであるので，比較的高価な膜処理は再生水の製造や廃水中の有価物回収などに適用されてきた。 近年，資源循環型社会構築に向けた取り組みが各所で活発になる中，産業界では産業活動における生産などの工程を再編成し，廃棄物の発生をできる限りゼロに近づける循環型産業システム，すなわちゼロエミッションシステムの重要性が指摘されている。 こうした背景により，工場における廃水処理は，より積極的な水の再利用と環境への負荷低減という二役を担うことになってきている。 現在では工場廃水の回収率は約80％になり，廃水処理の規制も強化される傾向にあり，膜処理技術は廃水処理には欠かせない技術になっている。