がん患者の適応障害とうつ病

摘要

がん患者の約半数には何らかの精神医学的診断が認め られ，なかでも適応障害とうつ病は頻度が高いというこ とが明らかとなっている。先行研究から，治療介入が必要な不安?抑うつは20?40%といわれている。これら の精神的問題は，それ自体が苦痛というだけでなく，そ の他の側面にもさまざまな悪影響をもたらす。QOL 全側面の低下，希死念慮が強まり，最悪の場合自殺に つながる可能性がある，がんに対する治療意欲を奪つ てしまい，医学的には有効である治療を受けなくなって しまうなど治療に対する意思決定の問題が生じうる， 患者に精神的問題がある場合，家族の精神的負担にも関 連する，入院期間が長期化する-などがあげられ る。したがって，医療者は介入が必要な精神的問題を早 期発見し，速やかに適切な対応をすることが重要である。