学会による公知申請の推進—日本臨床薬理学会と日本リゥマチ学会の取り組み

摘要

医薬品の適応症拡大が必要なとき，そのための治験を実施するのはさまざまな理由で困難なことがある。公知申請は， 故水島裕参議院議員が尽力されて出された厚生省（当時）通知に基づいた行政手続きであり，公知の情報があれば治験をすることなく医薬品の適応を拡大することができるという画期的制度である。メ卜卜レキサ一卜（MTX)は世界 の標準的リウマチ治療薬だが，わが国の当初の承認用量の上限は世界の半分以下であり，臨床上大きな問題となってい た。本稿では，まず公知申請制度が制定されるに至った歴史を述べ，次に公知申請を利用したMTX上限用量増量の過 程を具体的に紹介することにより，本制度の意義と学会の役割について概説したい。