電気ショック療法中のperfusion indexとpleth variability indexの経時的変化

摘要

電気ショック療法(ECT)は，精神科領域の疾患における治療法として広く用いられている。ECTは，急激な血行動態の変動を誘発し，循環器関連の合併症を起こすことが報告されている。今回は，マシモ社製のパルスォキシメータを利用して,ECT中のperfusion index (PI)とpleth variability index (PVI)の経時的変化を観察した。対象は，うつ病または統合失調症の治療目的のためにECTを実施する15名とした。FXTの1 クール10-12回のうちの，3ないしは4回目に測定を実施した。麻酔方法は，プロボフォール0.8-1.0 mg·kg~(-1),スキサメトニゥム0.8-1.0 mg . kg~(-1)投与後に10096酸素でマスク換気を実施したのち，ECTを試行した。降圧薬などの投与は 患者個々により適時調整した。標準の血行動態の観察に加え，マシモ社製パルスォキシメータを装着し，麻酔薬投与前からECT終了 5分までPIとPVIを測定した。心拍数は，覚醒時と比較してECT中に一時的に上昇した。PIは，ECT中には一時的に低下したが,1分後には元の値まで回復した(覚醒時PI 3.6+-1.4, ECT中1,6+-0.9, P<0.05覚醒時と比較してECT1分後1.9+-1.7)。一方，PVIは変動がなかった。ECT中は，急激な全身の血行動態の変動を招くとともに末梢循環は一時的に障害を受ける可能性が示唆されたが,降圧薬などの作用も考慮する必要がある。