ボセンタンによる胆汁うっ滞性肝障害の発現とそのメカニズム

摘要

ホセンタン水和物(以下，ホセンタン)は胆汁うつ滞性の肝障害を発現することが知られている.これは，ボセンタンが肝細胞の胆管側膜における胆汁酸輸送を阻害(少なくとも一部に BSEPトランスポ一タ一の阻害か関与)するためてある，ホセン夕ンはグリベンクラミドとの併 用により，肝機能検査値が上昇するため，併用禁忌に設定されている.このメカニスムも，両 薬剂が胆汁酸塩の排泄を競合的に阻害し,肝細胞内に胆汁酸塩の蓄積をもたらし，肝毒性作用 を発现するためと考えられている以上から，ホセンタン投与前には必す肝機能検査を行い， 投与中においても，少なくとも1カ月に1回実施することとされている.なお，肝障害を增悪 させるおそれかあるため，中等度あるいは重度の肝障害のある患者への投与は禁忌である.