オブジェクト指向に基づく構造設計用統合化CAEシステムとマイクロマシン構造設計への適用

摘要

今日までに汎用解析コードやプレ処理システム，可視化ツールなどの様々なCAEコード·システムが開発されてきており，人工物の設計·運用に欠かせないツールとして認識されている．一方，現代的な重要構造機器，たとえば原子力構造機器，電子デバイスやマイクロマシンなどにおいては，その構造設計技術は依然として発展途上にあり，解決すべき課題として次の3点が挙げられる；（a）構造変形，流れ，伝熱や静電磁場といった様々な物理現象が複合的に，さらには連成して関与するため，設計段階において，それらを考慮する必要がある．（b）設計変数が多様であり，また最適化·満足化といった設計目標も複合的，非線形，不連続であり，多峰性も有する．従って，設計問題は本質的に悪構造(ill－Posed)となりやすい．さらには，マイクロマシンのように設計経験の乏しい人工物の設計においては，設計要求も確定されたものではなく，設計要求と設計解を同時進行的に求めることが必要となる．このため，様々な先験情報をもとに悪構造の問題を良構造（well- posed)の問題に変更して解くことも難しい．（c）確度の高い詳細な評価を行うために，設計作業において，CPU負荷の高い計算力学解析を繰り返し行う必要がある．しかしながら，要素分割などのプレ処理の自動化や各解析プロセス間のデータ通信の自動化などがネックとなる．