鉄道総研のシミュレーションの方向

摘要

鉄道総研ではこれまで，研究開発を通じて鉄道固有現象の解明を進め，モデル化の技術を蓄積してきた．一方，コンピュータの進化には目覚しいものがあり，HPC（High Performance Computing）によるコンピュータシミュレーションが「第三の科学手法」として益々脚光を浴びつつある．このような背景のもと，鉄道総研では「鉄道シミュレータの構築」に向けた研究関発を新たにスタートさせ，HPC，長期劣化現象等をキーワードにバーチャル鉄道試験線と地震災害シミュレータの開発を進めている．本稿では，これから構築していく鉄道シミュレータのフレームと，具体的に開発を進めているコアシステムのシミュレーションモデルを紹介するとともに，鉄道車両の開発という視点での新たなシミュレータの活用方法について言及する．鉄道シミュレータは，将来，鉄道の運営全般を支援するツールとして発展していく姿をイメージしたシミュレータである．