舌筋配置を模した三角要素分割による人工舌用要素の機構設計－機械式音声合成装置の構成要素のデザイン

摘要

本研究では，MSS用人工舌の作成の前段階として，人工舌用アクチュエータの機構を提案し，試作するとともに，舌形状作成用実機案先行型シミュレータを開発する．人工舌用アクチュエータは人工舌の要素となる伸縮可能な三角柱型の要素であり，一部のactiveな枝の収縮に呼応してpassiveに動く枝が要素内体積一定の下に伸張する機構を実際に設計，製作する．本研究は実機作成のフェイズを三つに分けて考えている．まずは，機構の作成·検証，そして次に，機能を満たすための作成·検証，最後に実用化を目指した作成·検証を目指す．本稿では，最初の機構の作成·検証について報告する．また舌形状作成用実機案先行型シミュレータは前述の人工舌用アクチュエータのシミュレータとして使えることに加え，実際の舌の形状の作成を筋レベルの収縮動作から模することも可能とする．本論文では，第2章でMSS用人工舌の概要を述べる．第3章においては人工舌用要素アクチュエータの構成·機構を説明し，その動きを確認した結果を述べる．また，第4章においては，今後の要素数の増大に対して，要素数や配置，枝のactive，passiveの設定や出力などの基礎データを集積するために実機案先行型シミュレータVANGUARDSを開発し，これを用いて舌形状の作成を試みた結果について述べる．そして，第5章で本研究をまとめる．