果樹栽培新技術の開発－ガムテープを使いナシの落果を防ぐ：軽業時間が短く，容易

摘要

ナシは台風などの強風による落果が多く，深刻な被害を受けることがある。 特に晩生ナシは熟期が遅く，台風被害を受ける期間が長いため，年によっては複数回に渡って被害を受け，栽培者にとっては，収入減になるだけでなく，ナシ栽培を継続する意欲すら削がれている場合もある。本法を考案するきっかけとなった2004年の台風被害のように，勢力の大きい台風が何度も上陸するような年が続けば，栽培者のナシ離れをさらに加速しかねない。 地球温暖化により，今後，台風の大型化が顕著になるという報告もあり，強風による落果に対してより一層の防止策確立が急務であると思われる。強風による落果を防止する対策としては，果樹園周辺の防風垣，防風ネットの設置や棚面の補強の他，果実を直接，結果枝に固定する方法としてネットやひもを用いた果実の吊り上げが行われている（1，2図）。この中でも，従来の果実を吊り上げる作業は，煩雑で時間がかかり，台風接近時など緊急の場合には，短時間で多くの果実を吊り上げることは不可能である。 そこで，より省力な対策として，ガムテープを用いて果実と枝を固定する落果防止法を検討し，有効な対策であると思われることから紹介する。