【シリーズ】産総研における標準物質の供給とSIトレーサビリティ-2―産総研NMIJにおける無機化学標準物質とそのトレーサビリティ

摘要

図1は化学計量標準の供給とトレーサビリディの流れを，日本の国立研究開発法人産業技術総合研究所（略して産総研；AIST）の計量標準総合センター（NMIJ）を中心に示したものである。図中の下向きの矢印は標準供給の流れの方向を示すが，その反対方向はSIあるいは他の国際標準へ向かってのトレーサビリディの流れを示す。なお，図1の二重の四角囲いはNMIJの役割を示すが，このうち化学組成に関する依頼校正については，現在一部の有機高純度物質とガス標準において開始されている。以下においては，産総研NMIJの関わる日本国内の無機化学標準分野の計量標準とそのトレーサビリティの状況を説明するが，それに先立って，まずは化学標準全般における諸外国との関係について次項で述べる。