品質管理の手法を適用したPCB無害化処理施設の事業管理に関する研究

摘要

PCB処理施設の設置許可期間短縮を事例とし，品質管理の手法の一つであるDMAIC法（Define：定義，Measure：計測，Analyze：解析，Improve：改善，Control：実行管理）の5段階法を用いて設置許可の手順を定量化し，事業管理の効率化に関し以下の成果を得た。 最初に，設置許可手続き期間（申請書の受理日から専門家会議の終了日までの期間：Lead Time: LT）の目標値からの遅延を最小化することを定義し，LTの遅れ，欠陥率R（％）を定義した。 次に特性要因図を作成し，専門家会議手続きの遅延要因分析のため故障モード影響解析を実施した。 さらに，専門家会議の進行段階の19ステップすべてに定量化した故障の影響度(Severity：SEV)と故障の発生のし易さ(Occurrence: OCC)および故障の発見のし易さ(Detection: DET)の積(SEV×OCC ×DET)をリスク度(Risk Prior，ity Number: RPN)と定義し定量化し，RPN評価を基に，影響度に応じてリスク防止の推奨策(Actions Recommended: AR)を提案し，ARを実行した。 最後に，第1回専門家会議終了後から第2回専門家会議終了時点までARを実行した。 第2回専門家会議終了時点で，19項目のすべてのRPNは120未満となり，結果的に専門家会議は3回で終了し設置許可が取得できた。 結論として，従来約10か月を要していたLTを最終的に4.5か月に短縮しR＝15％を達成した。