射出成形品のコーナー部内そり変形予測

摘要

現在，射出成形解析に薄板製品用に開発された解析ソフトを活用しており，解析要素タイプとして，シェル要素を用いている．その解析では平板形状のシェル要素をつぎ合わせてモデル化しているため，コーナー部あるいはリブの付け根のように平板では正確に形状を表現できない部分の解析誤差は大きい．よって，その影響が支配的な諸現象を予測することは困難である．例えば，エンジンカバーにおける立ち壁の内そり現象はコーナー部の影響が強く，射出成形解析による予測精度は不十分である．解析を試みたとしても，ほとんど内倒れはしないという結果が導かれる．この打開策の1つとして三次元（ソリッド）解析化が挙げられる．近年，三次元射出成形解析ソフトも市販されているが，計算機の能力上，エンジンカバーのように中大物の薄板物の製品については適用が困難と言える．本報では射出成形品の内そり現象に対し，現在活用中の汎用射出成形解析ソフトC-MOLD（シェル要素対応）と構造解析ソフトABAQUSを組み合わせて内そり量を定量的に予測する手法を構築したので報告する．