射出成形におけるバリ発生と金型変形との相関解析（第2報）－成形条件の影響

摘要

著者の一部らは，円筒形次成形品を成形するためのスライドコア構造金型の，スライドコア同士の分割面に発生するバリを研究対象として，ひずみセンサなどの各種センサを金型の各部位に取り付けて，バリ発生と金型変形との相関関係について検討を行った．その結果，本金型構造では，高い樹脂圧力によってスライドコアが固定側モールドベース方向へと押されてモールドベースが変形する際に，コア同士の分割面に隙間が生じ，バリが発生することを明らかにした．また，金型のひずみが大きく増加し始める保持圧力値付近から，バリの発生が開始することを確認し，これより，バリ発生と金型変形との間には密接な相関関係があることを示した．しかし，上記関係は，一種類のポリプロピレンを用いた狭い成形条件範囲内の実験において確認されたものであり，その普遍性については，まだ明らかになっていない．そこで本論文では，射出率などの成形条件や樹脂が変化した場合の，上記相関関係の普遍性について検討を行った．また，スライドコア同士の分割面にはじめから隙間が生じている場合に，バリ発生形態と金型変形にどのような影響が及ぶかについても検討を行った．