製品機能をアップさせる二次加工技術－接合·融着·多層化技術を中心に－6章 新規の接合技術 6.1 金属材料とプラスチックのレーザー直接接合

摘要

金属材料およびプラスチック（樹脂）は，自動車，鉄道車両，造船，航空機，エレクトロニクス，計測機器など，あらゆる産業分野において，広範囲に利用され，接合·溶着が重要な必須の基盤技術となっている．通常，金属材料とプラスチックの異材接合は，接着剤による溶着，ねじ，ピン，ボルト，リベット等による機械的·物理的な結合などで行われている．しかし，接着剤を用いる接合では，エポキシ系やアクリル系の接着剤が用いられ，有機溶剤が用いられるため，その蒸発が作業者の健康を害するので，VOC規制（揮発性有機化合物の排出抑制）の対象となり，また接着に長時間を要するなどの問題点がある．機械的·物理的な結合では，設計の自由度が制限され，別の加工工程と他の部品が必要であるなどの欠点がある．そこで，著者らは，金属材料とプラスチックを，接着剤やリベット等を用いないでレーザーで直接接合する新規の接合技術を開発した．この接合技術を，以下，LAMP (Laser-Assisted Metal and Plastic)接合法と略述する．LAMP接合法は，金属材料とプラスチックを重ねたところにレーザーを直接照射する簡便な方法であり，自動化が可能で，従来の接合法での諸問題や欠点をほとんど改善できる．本講座では，金属材料とプラスチックをレーザーで直接接合するLAMP接合法とその特徴，接合部の特徴と良好な高強度接合部を得るための接合条件，継手部の強度評価結果，接合機構などについて概説する．