不飽和ポリエステル樹脂の低収縮化機構

摘要

不飽和ポリエステル樹脂（以下UPと略す）は，ガラス繊維強化プラスチック，ライニング，塗料，注型として，工業的に大変有用な樹脂である．しかし，UPは，成形加工時，内部ひずみによる割れや成形品表面の荒れ，特に強化繊維の浮き出しを起こすという問題点も有する．これらは，UPとスチレン（以下Stと略す）のようなビニルモノマーの反応において，5から10％の硬化収縮が起こることに起因する．F．S．Nicholsらは，モノマーがポリマーになるとき起こる体積収縮と自由体積の減少の関係について明らかにした．工業的には，低収縮化がいろいろ検討された．C. H. Kroekelらは，ポリメタクリル酸エステル系熱可塑性樹脂を高反応性UPと混合することにより，低収縮化がなされることを見出して，低収縮化，いわゆるlowprofile化のモデルを報告した．この場合，硬化前は非相溶系のエマルジョンからなり，非相溶の二液を加工時に混合することから工業的に二液型と呼ばれる．その後，低収縮化について，広く研究がなされた．