GISを用いたタイ中部畑作地帯における作付体系動態の解析

摘要

1960年代以降、主として政府による農地開発によって、タイの農地面積は大幅に拡大しており、 主要作物の作付面積は1960年に752,000 haであったが、1989年には2.4倍に相当する1,840,000 ha となっている（辻井2003)。 1950年以降、先進諸国における飼料用トウモロコシの需要増加ゃァ メリ力による経済、技術支援、タイ政府の奨励政策によって、トウモロコシの生産量は大幅に増 加しており（野中1968)、 1961年では60万トンであった国内総生産量が、2013年では500万ト ンとなっている（FAO2013)。このように、タイでは新しく開かれた畑地でトウモロコシを中心と した畑作物が栽培されてきた。その一方で、国際価格に連動した商品作物の価格変化や新たな商 品作物の導入、生業形態の多様化など、タイ農村を取り卷く環境は常に変化しており、畑地にお ける作付体系も固定的なものではない。そのために、農村地域における土地利用や作付体系の変 化について長期的に捉えることが重要である。そこで、本研究は、トウモロコシを主作物とする 畑作地帯における数年間にわたる作付体系の動態を把握し、主要作物がどのように変化している のかを解明することを目的として行った。