立体形状試験体における全方向傷の磁粉探傷試験を目的とした磁化装置の検討

摘要

機械部品やプラントおよび架橋などの各種構造物においては、立体的で複雑な形状をした箇所も多く、その非破壊検査は難しい。一方、複雑形状部では応力集中により傷の発生率も高く、危険な因子を抱えた箇所を十分な精度で探傷できない可能性がある。したがって、複雑形状部における非破壊検査精度の向上は、安心·安全な社会を実現するため、早急に検討·開発すべき課題である。強磁性体の材料表面近傍に存在する傷の非破壊検査手法として、磁粉探傷試験［1］がある。強磁性体に磁界を加え磁化したとき、材料中に傷が存在すると磁束は傷を迂回して分布し、その一部は外部空間に漏洩する。ここに磁粉（鉄粉）を散布すると、漏洩磁束により磁粉が磁化し、傷周囲に傷よりも広範囲に付着する。この磁粉模様を視覚的に観察することで、直接肉眼では発見できない非常に微小な傷を検出できることから、磁粉探傷試験は強磁性体（主に鉄鋼材）の非破壊検査手法として、広く産業界で採用されている。