MANETにおける鍵を用いた重複アドレス検出方式に関する検討

摘要

モバイルアドホックネットワーク(MANET: Mobile Ad hoc NETwork)を構築する上での重要課題として端末への一意なIPアドレスの割当や重複アドレスの検出が挙げられる．MANETでは，複数のネットワークが合流することによりアドレス衝突が発生する可能性があり，重複アドレス検出が特に必要となる．個々のネットワークインターフェイスに対して64ビット程度のランダム値（以下，鍵）を生成し，IPアドレスと鍵を組にしてルーティングプロトコルの制御メッセージに載せることにより，重複アドレスが生じた場合でも，鍵の部分を利用して重複アドレス検出を行うWeak DADが提案されているが，制御メッセージが大きくなるという短所がある．本稿ではオーバーヘッド削減を目指し，鍵を分割し，制御メッセージのシーケンス番号と関連付けて転送する改良方式（分割鍵DAD方式）を提案した．そして，新潟大学で実装を行ったルーティングプロトコルOLSRv2のプログラムコードであるnOLSRv2に対してこの機能を追加し，正常動作を確認した．また，従来方式と提案方式に関し計算機シミュレーションにより比較を行い，提案方式において制御メッセージ送信時のオーバーヘッドが削減されていることを示した．