有明海奥部干潟域における脱窒菌群の生息分布と脱窒活性

摘要

有明海奥部干潟域における底質（深さ0～4cm）の脱窒菌数の場所的分布は，干潟の特性や季節によって大きく異なった．夏季の底質の脱窒菌数は，最奥部の泥質干潟で平均約略000MPN夜伽と多く，逆に東岸域や西岸域の砂質及び砂泥質干潟では平均約1，700MPN／g－dryと少なかった．また，底質の脱窒菌数と含泥率との間に高い相関性が見られ，脱窒菌数は含泥率の増加に伴って増大した．一方，泥質干潟における脱窒菌数の鉛直分布は，特に夏季に馳がOmV前後となる底質表層（深さ0～2cm）を中心に多かった．しかし，夏季以外の季節では、脱窒菌数は減少した．さらに，泥質干潟における脱窒速度は経時的に大きく変化した（0．35～13．86mg-N、m~(-2)、d~(-1)）．また，泥質干潟の脱窒活性は，脱窒菌数の他に生息環境要素や基質濃度によって大きく左右されると推察された．