低分子化ヒアルロン酸含有食品の変形性膝関節症患者に おける症状および軟骨代謝マーカーに対する効果

摘要

ヒアソレロン酸（HA)の関節内注入は，変形性膝関節症 (膝OA)の薬物療法として用いられている。しかし，HA の経口投与の効果についてはほとんど検討されていなレ、。 そこで，本研究では，低分子化HAを含む鶏冠抽出物加 ェ食品の膝OA患者における関節症状並びに関節軟骨 代謝バイオマ一カーに及ぼす効果を検討した。そのため に膝関節痛のある膝OA患者40例（40歳以上の男女； Kellgren-Lawrence分類のグレ一ドが主としてI-II)を 対象に，無作為化二重盲検比較試験を実施した。被験者 19例には試験食品（HA含有鶏冠抽出物として630mg/ 日）を（試験食品群）,21例にはプラセボを（プラセボ 群)，各々16週間摂取させた。関節症状に対する効果は， 日本整形外科学会制定の膝関節疾患治療成績判定基準 (J0A評価基準）およびVisual Analogue Score (VAS) を用いて評価した。さらに，軟骨代謝については，II型 軟骨コラーゲン（CII)の分解マーカ一（尿CTX-II,血清 C2C)および合成マーカ一（血清CPII)を示標として評 価した。その結果，J0A評価基準の5つのサブスケールのうち， 「疼痛、歩行能」，「疼痛、階段昇降能」および各スコア の「合計」について，試験食品群がプラセボ群よりもスコ ァが上昇（症状が軽減）した。また，VASの3つのサブ スケール（安静時，運動時，圧迫時の痛み）についても，JOA評価の結果に一致して，試験食品群における痛み軽 減の程度は，プラセボ群よりも大きく，なかでも「圧迫時 の痛み」について有意な改善が認められた。