総論がん組織微小環境変化をもとにした治療戦略を考える

摘要

がん組織はがん細胞と組織を構築する様々な間質細胞(CAF, TEC, TAMなど）から構成されており，がん細 胞と間質細胞の相互作用により作り出される微小環境は がん細胞の生存、増殖、浸潤、転移などに深く関わって いる。がん微小環境は正常組織に比べ低酸素、低栄養で あり，特徴的ながん細胞生存に関わる分子機構が働き， がん細胞が増殖するとともに，治療抵抗性に関わってい る。このがん組織特徴的な分子基盤として，1)間質細 胞，2)骨髄由来細胞，3)低酸素状態，4)小胞体ス 卜レスに注目し，現在我が国において先進的な研究をし ている先生方に，それぞれの分子基盤をもとにした治療 法開発の展望を書いてもらった。これら新しいがんの生 物学的特性をもとにした新規診断、治療法開発につなが ると考えられる。