1．咽喉頭炎により喘鳴症を呈した黒毛和種子牛の1例

摘要

子牛の喘鳴症は咽喉頭炎でしばしば発生し、慢性経過をとったものは難治性とされているが、本邦での報告例は見当たらない。 今回、咽喉頭炎により重度の喘鳴症を呈した黒毛和種子牛に遭遇し、長期の抗生剤と副腎皮質ホルモン投与およびポピドンヨードの咽喉頭部塗布により治癒させることができたので報告する。 ≈⒗宵毛和種子牛、雌、1ヶ月齢であった。 出生後異常なく経過していたが、14日齢に喘鳴音および肺炎の症状を発症し、地元の獣医師によりアンピシリン200mgとプレドニゾロン50mgによる治療を受け症状が改善したため経過を観察、22日齢に再発し前述の治療を3日間続けて回復したが31日齢に再発したため本大学大動物診療センターに入院した。 入院時の体重は61．5kgであった。 臨床症状：入院時の所見は、体温39．6℃、心拍数112回／分、呼吸数42回／分、吸気時に高調な喘鳴音、呼気時に低調ないびき音が聴取された。 努力性の呼吸、乾性の発咳が認められ、触診により喉／頭部の腫大が確認でき、同部の圧迫により咳が誘発された。 食欲廃絶し、長く起立できないなど運動不耐性がみられた。