北海道十勝地域の畑土壌における リン酸の固定と蓄積 ーリン酸肥料の減肥と土壌蓄積リン酸の有効利用に向けて一

摘要

わが国の畑土壌の約半分には、火山灰から できた土壌である黒ポク土 （くろぼくど）が 広く分布しています。黒ポク土はリン酸の固 定力がきわめて高く、リン酸欠乏が作物生産 性を強く抑制していたためリン酸肥料の多施 用が行われてきました。農耕地面積当たりの 化学肥料リン酸消費量はいまだに世界最高レベルです。しカゝし、施肥された肥料に含まれるリン酸のうち、作物によって吸収されるのは約10 -20%に過ぎないと言われています。例えば 北海道十勝地域の黒ボタ土圃場で生食用バ レイショを栽培する場合、北海道施肥ガイ ドによると、リン酸肥料の施肥標準は20kg-P_2O_5/10aとされています力実際にバレイ ショが吸収するリン酸は2-3 kg-P_2O_5/10a 程度です。つまり、17-18kg-P_2O_5/10aはバ レイショに吸収されずに土壌中に蓄積する可 能性があることを意味しています。実際、ど れ位の量のリン酸が、どこに、どのような形 態で蓄積しているのかを明確に示した研究は ほとんどありませんでした。そこで、畑地お よび隣接する未耕地において土壌調査を実施 し、正味のリン酸蓄積量を評価しました。